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地震が起こる前の発生する電磁現象
について観測と考察を行っています。

 このサイトは、従来の地殻変動観測とは異なる新しい電磁気手法による地震予知の可能性について探求した記録です。

今後の課題




《これまでの観測経過から,今後詰めるべき項目等について纏めた》
《データの解析・検証に当たって確認すべき事項など》 2006.6.18記
1.はじめに
 地震前駆と思われる電磁現象については,電波雑音を測定するという形で観測データを収集しているが,このデータには地震前駆現象のほかに,様々な要因による電磁現象としての電波雑音が含まれている事が分っている。
 これまでも雷発生時の雑音発生が確認されているが,気象状況による影響,太陽活動の影響,流星群などによる影響度合を検証し,影響のある雑音成分について排除する事により,データの精度向上を図る必要がある。

2.雷雑音の排除
(1) 落雷時の雑音排除
電力会社等が開示している落雷情報を活用し分析特定を行い,不要雑音の排除に努めたい。

落雷雑音の特定作業は根気とマンパワーがかかるが,確実に排除できるので不可欠な作業である。いずれリアルタイムのソフト処理は可能である。

(2) 落雷に至らない雷雑音(空電)
雷注意報の発令状況など,気象データとの突合せが必要。

経験的にはラジオ放送(BC・AM)への空電ノイズの受信の有無から観測できるが,現在進行形的なもの以外は不可であり,過去データに遡っての突合せは難しい。

3.気象データの分析
(1) 相対湿度との相関
類似観測を行っているグループのデータ分析では,ノイズレベルと相対湿度に相関があるとの指摘がある。

身近な一例を挙げれば,湿度が間接的に雑音の発生源,例えば高圧送電線のリーク電流等に影響を与え,電磁雑音の発生レベルに影響を与える事などが考えられる。

(2) 風向・風速との相関
未だ詳細分析をしていないが,風が強い場合は雑音レベルが高いように感じている。

雷雲(もしくは静電場)が風に流されて移動し,空中線に近づいたり遠ざかったりすることにより電磁雑音が変化する事もあるだろうと推定している。

また,乾燥状態で風がある場合は静電気が発生しやすく,空中線そのものにも帯電される可能性がある。

ただし,今回使用している空中線はエレメントが直流的に接地されている構造となっているので,エレメントへの帯電はないと考えている。

さらに,冬場の乾いた雪が帯電しノイズを発生することも良く知られている。

その他,風による高圧送配電線などの揺れ(物理的接触変化)による雑音発生も考えられる。

(3) 温度との相関
地表,上空の温度逆転,あるいは寒気・暖気の流入によるスキャッタ−なども考えられるが詳細は不明である。

夏場の気温が高い日はEスポが発生しやすいが,Eスポ情報は別に入手できるので,温度変化とは切離して分析を行う。

(4) 気圧との相関
低気圧の状況下でラドンガスが地下から上昇しやすいとの研究報告がある。

むしろ,不安定な気圧配置下で寒冷前線などが発生し,雷の発生に関連する事がポイントかもしれない。

4.見通し外伝播の分析
(1) Eスポとの相関
Eスポ情報は別に入手できるので活用したい。

経験的には,静電雑音が見通し外伝播をし,大きな雑音として受信されているとは考えていない。

なぜならば,Eスポ発生時に遠来の電波信号が受信されている状況では,音声信号レベルは高いが,(ホワイトノイズ的な)雑音レベルは低い。

(2) 流星群反射との相関
基本的には前項と同様で,電離圏の擾乱(電離塊発生)による見通し外伝播であり,静電雑音が見通し外伝播をし,大きな雑音として受信されているとは考えていない。

(3) その他の見通し外伝播
特殊な気象条件下(温度の逆転配置,不安定な前線配置)のスキャッタ通信,山岳回折による伝播,航空機の機体反射などの影響により稀に見通し外の伝播が発生することが考えられるが,多地点観測により選別可能と考えている。

5.おわりに
当面は,観測データから地震前駆雑音を抽出し精度を高めるため,(手作業ではあるが)不要データに関わりのありそうな諸元を解析し,当該データの排除に努めていきたい。

さしあたり,落雷データとの突合せをリアルタイムでCPU処理し不要データとして排除する事は比較的容易に実施できるので,簡易なCPUシステムの構築を検討したい。

近い将来は,様々な観測をしている研究機関などとデータ連携をし,確率的・統計的な処理をした後,精度の高いデータが出力される時代が来るものと期待している。

以 上


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